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どんな症状があるの?

甲状腺は、首の前側で喉ボトケのすぐ下にあります。甲状腺ホルモンを産生し、新陳代謝、心臓、ならびに胃腸の働きを活発にするなどの役割をする臓器です。

甲状腺が腫れる病気に代表的なものが4つあります。

  • バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
    動悸、発汗、指の震え、痩せる、声がかれる
  • 橋本病(甲状腺機能低下症)
    倦怠感、寒がり、むくみ
  • 亜急性甲状腺炎
    首の痛み

そして自覚症状のない甲状腺腫瘍です。

今回は甲状腺腫瘍について詳しく紹介します。
甲状腺腫瘍は小さいとうちは自覚症状はなく、多くは超音波でたまたま見つかります。
腫瘍が大きくなると、甲状腺が腫れたり、手でしこり(腫瘍)を触るようになりします。

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甲状腺腫瘍の種類と原因は?

甲状腺腫瘍(しこり)の原因は解明されていません。
腫瘍の90%良性で、10%は癌やリンパ腫などの悪性腫瘍です。ただし、血縁に甲状腺がんになった方がおられると、癌の発生の可能性が高いといわれています。

良性腫瘍は50代の女性に多くみられます。大きく分けて3種類あり、袋状で内部に水分の貯まったのう胞、正常細胞が増殖した腺腫様甲状腺腫、良性の濾胞腺腫があります。

がん組織の形によって、いくつかに分類されます。
90%は乳頭がん、5%は濾胞がんでいずれもゆっくり進行し治りやすいがんです。ただし、1-2%は極めてたちの悪い未分化がんというがんもあります。

甲状腺はどうやって検査するの?

1st ステップ

まずは、問診と血液検査、そして超音波検査を行います。甲状腺の大きさや形、しこりがあればその性質を観察します。甲状腺のしこりに直接に注射針を刺して細胞を採取し詳しく検査することもあります(穿刺吸引細胞診)。がんを疑うと、さらにCTやMRIを行います。

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2nd ステップ

甲状腺腫の広がりや甲状腺機能を調べるために、放射性物質を使って、甲状腺シンチグラフィーを行うこともあります。

どうやって治療するの?

甲状腺腫瘍のほとんどが、検診で見つかります。その後、超音波や細胞診で良性と診断されれば、経過を定期的に観察します。

細胞診でがんと診断されても、大きさが1cm以下で、他に転移がみつからなければ、手術せずに経過を観察することもあります。ただし細胞の種類よっては、まず手術を、そして放射線治療、薬物療法をお勧めします。

手術の方法には下図のような3種類の方法があります。

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手術の後、放射線治療(アブレーション治療)を追加して行うこともあります。

頚部の傷の長さは、約4-5cmの小さな創で手術を行います。また、手術の創は頚部の「しわ」を利用して目立たないよう心掛けています。 入院期間は概ね1週間程度です。

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甲状腺を広範囲に切除すると、甲状腺ホルモン剤を経口で補い続ける必要があります。また副甲状腺を温存できなかった場合は、カルシウムの補充も必要です。

まとめ

甲状腺腫瘍のうち良性腫瘍は原則として超音波による経過観察を行います。

甲状腺がんは低分化腺がんや未分化がんを除き進行の遅いがんですが、再発・転移の可能性もあるので治療後10年は経過観察します。

何れも早期発見と正確な診断が、とても重要です。