大腸(結腸・直腸・肛門)に発生する病気です。良性のポリープが変化して癌になるものと、粘膜が直接癌化するものがあります。
早期の大腸癌は、ほとんど無症状です。
癌が進行すると、発生した場所や大きさによって、腹痛、うんちに血が混ざる(血便)、体重減少、お腹が張る、残便感、下痢と便秘を繰り返すなど、様々な症状が出ることがあります。
また、癌は少しずつ大きくなって周囲の組織を破壊します。
様々な症状が出て体力を消耗し、衰弱してしまうこともあります。
原因が全て分かっているわけではありませんが、大腸癌になりやすい条件がいくつも知られています。
生活習慣は確実に影響があります。
飲酒、肥満、運動不足の3つが確実な原因と言われています。欧米の食事形態(高脂肪・低繊維食)が影響すると言われており、赤肉(牛、豚、ヒツジなど)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)や飲酒、喫煙によりその発生する危険が高まると言われています。
家族歴(近い身内に同じ病気があること)も影響することがあります。
大腸癌の発癌機序を簡単にお示しします。
大腸癌はポリープの一種である腺腫と呼ばれる良性ポリープが癌化する経路(上図)と、もう一つは正常粘膜が直接癌細胞に変化して増える場合(下図)の2つの経路があります。
大腸内視鏡検査を行い、癌かどうかの診断を行います。
さらに病気の広がりを調べるために、CTやMRIや超音波検査を行います。当院では、肛門から炭酸ガスを注入してCT撮影を行い、病変の部位を明らかにする検査(大腸3D-CT)もしています。
大腸癌の治療は、がん細胞のタイプ、病変の大きさと広がり(ステージ)によって決まります。
基本的には
を組み合わせて行います。
内視鏡を使って、大腸の内側から癌を切除する方法です。治療の適応は、リンパ節に転移している可能性がほとんどなく、一括でとれる大きさと部位にある場合になります。
内視鏡的粘膜切除術 (EMR)
内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)
大腸癌治療ガイドラインから引用
EMR治療の場合は、日帰りで治療を行うこともありますが、ESD治療を行った場合、入院期間は数日程度です。
詳しくは、専門外の先生にご相談ください。
体に3〜5mmの孔をあけ、内視鏡(カメラ)を挿入して手術部位の様子をモニターで確認しながら、別の小さな孔から挿入した器具で(腹腔鏡)手術を行います。非常に高精度なカメラを使っていて、従来の開腹手術よりも繊細な手術が可能です。
実際に手術の様子を簡単に示したシェーマです。
次々と新しい抗癌剤が開発され、薬だけで癌が消えることもあります。
化学療法で縮小した肝転移巣
直腸癌に化学放射線治療を施行しました。内視鏡写真とMRI画像を治療前(左図)と治療後(右図)に示しました。
治療が効いて、肉眼的には腫瘍は見えなくなることもあります。
緩和ケアは、良質な治療を提供できるように、その人らしく生きるために重要なケアと考えて推進しています。
がんになると身体や治療のことだけでなく、仕事のこと、将来への不安などの辛さも経験すると言われています。
緩和ケアは、がんに伴う心と身体の辛さを和らげます。
当院では、様々な専門職からなるチーム(緩和ケアチーム)で、その人、その人が安心して治療に専念できるような環境作りを心がけています。