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多くの人が経験する頭痛。頭痛にも種類があり正しい治療が必要です。時には危険な病気のサインであることもあります。

頭痛

北里研究所病院では、頭痛専門医により、300種類以上あるとされるあらゆる頭痛のなかから、患者様の頭痛を見極め、適切な治療を行っています。頭痛の研究に取り組み、治験や最新の抗体治療を行っています。

どんな種類があるの?

一次性頭痛

頭痛そのものが病気です。主に下記の3種類に大別されます。

  • 片頭痛
  • 緊張型頭痛
  • 群発頭痛(三叉神経・自律神経性頭痛)

二次性頭痛

脳や頭部のさまざまな病気の症状として起きる頭痛です。
くも膜下出血や脳出血など命にかかわるような「危険な頭痛」の可能性もあるため、「いつもと違う頭痛」の場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
また一次性頭痛の人が鎮痛薬をのみすぎていた場合に起こる「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」も二次性頭痛のひとつです。

図:頭痛の種類

いつもと違う頭痛の見分け方をチェックをしてみましょう!

症状は?どんな時に起こる?

片頭痛

ズキンズキンと拍動する痛みが繰り返し起こり、吐き気やおう吐を伴って寝込むこともあります。生活に大きく影響する頭痛の代表です。
片頭痛はこんなことが誘因となって起こります。

  • 月経や排卵
  • 寝不足や寝過ぎ
  • 飲酒
  • 空腹
  • ストレス
  • まぶしい光
  • 強い匂い
  • 人混みや騒音
  • 天候変化
  • 温度変化
  • 高湿度
  • 緊張からの解放

図:片頭痛の原因

自分の頭痛をセルフチェックしてみましょう!

緊張型頭痛

両側後頭部やこめかみに重い痛みが生じます。
頭痛持ちの頭痛の種類の中で、最も多いタイプの頭痛です。
緊張型頭痛はこんなことが誘因となって起こります。

  • 運動不足
  • ストレス
  • 長時間の同一姿勢(デスクワーク等)
  • 体に合っていない枕

図:緊張型頭痛

自分の頭痛をセルフチェックしてみましょう!

群発頭痛

1日数時間続耐え難い激痛発作が、毎日一定期間(群発期)だけ起こる頭痛です。
群発期以外の期間に痛みはありません。
群発頭痛はこんな特徴があります。

  • 季節の変わり目に起こりやすい
  • 男性に多い
  • 痛すぎてじっとしていられない

図:群発頭痛

自分の頭痛をセルフチェックしてみましょう!

薬剤の使用過多による頭痛(旧称:薬物乱用頭痛)

頭が痛いからといって毎日のように頭痛薬を飲んでいると、かえって症状をこじらせ、ほぼ毎日頭痛が起こるようになってしまうことがあります。
この状態を「薬剤の使用過多による頭痛」(薬物乱用頭痛)といいます。市販鎮痛薬でも、医師からの処方薬でも起こります。

図:薬剤の使用過多による頭痛(旧称:薬物乱用頭痛)

自分の頭痛をセルフチェックしてみましょう!

自分の頭痛をセルフチェックしてみましょう!

片頭痛

A群
□頭の片側に起こる
□ズキンズキンと拍動する痛み
□痛みで仕事や学校に支障が出る
□体を動かすと痛みが悪化する
B群
□頭痛とともに吐き気がある
□頭痛の時は、暗く静かなほうが楽

A群が2コ以上+B群が1コ以上=片頭痛の可能性があります。

緊張型頭痛

A群
□両側のこめかみ、後頭部や首筋の痛み
□圧迫・締めつけるような痛み
□がまんできる程度の痛み(仕事や学校に行ける)
□体を動かすと痛みはまぎれる
B群
□嘔吐することはない

A群が2個以上+B群に該当=緊張型頭痛の可能性があります。

群発頭痛

A群
□痛む側の目の充血や涙がある
□鼻水・鼻づまりがある
□痛む側のまぶたが腫れる
□痛む側の顔に発汗がある
□痛む側のまぶたが下がる
□落ち着かず、じっとしていられない
B群
□片目の奥をえぐられるような激痛
□この頭痛は、15分~3時間続く
□ほぼ毎日同様の頭痛が1、2か月間続く

A群が1個以上+B群全てに該当=群発頭痛の可能性があります。

薬剤の使用過多による頭痛

□もともと頭痛もち(片頭痛や緊張型頭痛など)
□月15日以上頭痛がある
□3か月以上、鎮痛薬や片頭痛薬(トリプタン) を月10日以上飲んでいる。

上記に該当する方は薬剤の使用過多による頭痛の可能性があります。

頭痛を記録してみましょう

頭痛の痛みは自分にしかわからず、治まると忘れてしまいがちです。
ぜひ、痛みと服薬状況を記録して、頭痛を見える化してみましょう。
自分の頭痛パターンがわかり、受診時に状況を医療者に伝えやすくなり、適切な診断や治療につながります。

頭痛ダイアリー(紙)

日本頭痛学会のホームページからダウンロードできます。
http://www.jhsnet.net/pdf/headachediary.pdf

「頭痛web日記頭痛Click®」(アプリ)

「頭痛web日記頭痛Click®」 は、当院と株式会社ジェイマックシステムが共同開発した頭痛患者向け診療支援アプリです。患者さまがスマホアプリ・PCから頭痛と服薬の記録を簡単に入力でき、クラウド上で保管したデータを医師と情報共有できます。
頭痛との関連が疑われる気圧・天気・コンディションなども一緒に記録することで、医師が情報を多角的に分析することができ、診療効率が向上すると期待されています。
当院では、「頭痛web日記頭痛Click®」を用いた分析評価を積極的に活用しています。

アプリ用QRコード

図:薬剤の使用過多による頭痛(旧称:薬物乱用頭痛)

頭痛Click®HP:
https://intro-headache.vitalnote.jp/ZutsuClick/index.html

頭痛Click®ユーザーズガイド:
https://intro-headache.vitalnote.jp/ZutsuClick/user/manual.pdf

危険な頭痛の見分け方

二次性頭痛の中には、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎、脳腫瘍など、命にかかわるような脳の病気が原因で起こる頭痛があります。
いつもと違う「危険な頭痛」を見分けましょう。

いつもと違う危険な頭痛

  • これまで感じたことのない頭痛
  • 突然の激しい頭痛
  • 痛みが徐々に強くなる
  • 熱がある
  • 手足の脱力やしびれがある
  • けいれんがある
  • 意識がもうろうとしている

「いつもと違う頭痛」の場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

どうやって検査するの?

  1. 問診
    いつから、どのように痛むか、など詳しい経過を伺います。
  2. 神経学的診察
  3. 危険な2次性頭痛を見分ける。
    必要に応じて、採血、頭部CTや頭部MRI、頚椎レントゲンなどの画像検査や腰椎穿刺検査を行います。
  4. 図:CTスキャン
  5. 内科以外の疾患が疑われる場合 頭痛は耳鼻科や眼科、整形外科などの内科以外の病気で起こることがあります。適切な科をご紹介します。
  6. 1次性頭痛の鑑別を行います。

どうやって治療するの?

片頭痛

  • 薬物療法
    急性期治療と予防療法の2タイプがあります。片頭痛の頻度や程度、生活への影響の度合いなど患者さんの状況に応じて、薬剤を選び、飲み方の指導を行います。
  • 急性期治療
    トリプタン製剤、消炎鎮痛剤など
  • 予防療法
    内服治療、注射療法、漢方薬、抗CGRP関連薬 等
  • 薬物以外の治療方法
    「暮らし方」で片頭痛は変わります。生活指導を行います。
    ・運動療法

緊張型頭痛

  • 薬物療法
    急性期治療と予防療法の2タイプがあります。緊張型頭痛の頻度や程度、生活への影響の度合いなど患者さんの状況に応じて、薬剤を選び、飲み方の指導を行います。
  • 急性期治療
    消炎鎮痛薬を用います。
  • 予防療法
    筋弛緩薬や筋弛緩作用のある抗不安薬を用います。
  • 非薬物療法
    ・生活や運動指導を行います。

群発頭痛

  • 急性期治療
    一般的な消炎鎮痛薬は無効であり、トリプタン製剤を処方します。
  • 予防療法
    カルシウム拮抗薬やステロイド剤を用いることがあります。また、酸素吸入が有効な方には、群発期間中の在宅酸素療法を手配します。

薬剤の使用過多による頭痛

  • 頭痛と内服の記録をつけます。
  • 飲みすぎの原因となっている頭痛薬を中止もしくは減らします。
  • もとの一次性頭痛を見極め、一次性頭痛の予防療法を開始します。