涙の量が減ったり涙の質が悪くなると、涙が目の表面に均等に行きわたらず、目の表面に傷ができ目に様々な症状が出ます。これがドライアイです。
ゴロゴロする |
瞬きの摩擦で目の表面がこすれて神経が刺激されることで生じます。
乾く |
目の表面の乾燥で神経が刺激され、乾燥感やヒリヒリ感を感じます。
かすむ |
目の表面の涙が均等でないため、光が正しく目に入らず、見え方が悪くなります。
コンタクトレンズは涙を吸収し、目を乾きやすくします。
瞬きの回数は、通常1分間に20~30回で、目を涙で潤わせます。パソコンやスマホなどの画面を凝視していると、瞬きの回数が4分の1に減ってしまいます。
空調が効いたオフィスや家庭では、室内が乾燥して目を乾きやすくします。
夜間は涙の分泌が低下するので、夜間に目を酷使すると、目が乾いてしまいます。
年齢とともに涙腺の機能が低下し、涙の量が減ります。
涙の分泌はリラックスした時に働く副交感神経に支配されているため、過度の緊張で交感神経が優位に働くと涙は減少します。
向精神薬、抗がん剤などで、涙の分泌量が減ることがあります。また、防腐剤が入っている目薬の影響で角膜に傷がつくこともあります。
屈折矯正手術(LASIKなど)や角膜移植などの目の手術では、一時的に知覚が低下し、ドライアイになります。6カ月程度で自然に改善しますが、中には長期間改善されない場合もあります。
シェーグレン症候群などの自己免疫疾患や、スティーブンス・ジョンソン症候群などの病気で涙腺が破壊されると、涙がほとんど出なくなり、ドライアイが重症化します。目の表面の傷に細菌感染などが生じ、治療が遅れると失明することもあります。
顕微鏡検査で、フルオレセインという傷が橙色に染まる色素を用い、角膜や結膜に傷があるかを調べます。
目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間(BreakUpTime : BUT)を測ります。BUTが5秒以下の場合、ドライアイが疑われます。
(正常:10秒以上)
下のまぶたにろ紙を5分間挟み、濡れる長さで涙の量を測ります。涙の量が5mm以下の場合、ドライアイが疑われます。
(正常:10mm以上)
角膜上の涙の表面に白色光を当て、涙に含まれる油層の厚みや動きを調べます。
下記の症状にチェックを入れてみて下さい。
軽い症状でも、長期間続いている症状にはチェックを入れて下さい。
10秒チェック:あなたは10秒、目を開けていられますか?
12項目チェックで5項目以上当てはまった方、10秒以上目を開けていられなかった方はドライアイの可能性があります。
早目にドライアイ外来の受診をおすすめします。
点眼薬で水分を補給し、傷ついた角膜を修復します。
最近は涙の様々な成分に働く点眼薬が開発され、涙のタイプに応じた治療(層別治療)も可能です。
点眼薬で改善されない場合は、目頭の涙点にシリコン製の栓(涙点プラグ)を挿入します。
涙腺から出てきた涙は、涙点から鼻に向かって排出されます。涙点に栓をすると涙が排出されないので、目の表面を自分の涙で潤すことができるのです。
プラグを外すことは可能ですが、基本的には挿入したままです。
まぶたの裏にはマイボーム腺という、涙の蒸発を防ぐ脂を出す皮脂腺があります。マイボーム腺に異常がある場合は、 アイシャンプーやホットアイマスクなどで治療します。
点眼薬や涙点プラグを使用しても目の表面の傷が治らない重篤なドライアイでは、自分の血液を採取してその血清を点眼する「血清点眼」の治療が行われることがあります。血清成分が涙の成分に非常に似ていることから行われるようになりました。当院では薬剤部と連携して、「血清点眼」治療を実施しています。