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病院内で患者さまにとって身近な存在が、看護師をはじめとする看護職員ではないでしょうか。当院では、病棟や外来診療で力を発揮する看護師と、専門分野で患者さまに合わせたケアを行う専門看護師、認定看護師によって、質の高い看護を提供しています。

患者さまにいつもの生活を

看護部がめざしているのは、常に患者さまのそばに寄り添う「心ある看護」です。そのためには、患者さまにいつも笑顔で、敬意をもって接するのはもちろん、「何が患者さまにとって大切なのか」を考えながら、看護に取り組まなければいけません。そして、当院が考える患者さまにとって大切なものは、患者さまの普段の生活です。

患者さまにとっては病気の苦しさだけでなく、病気によって普段の生活が崩れることも大きな不安や悩みになります。また、長期にわたる治療では、「いつもの生活に戻るための治療」が「治療のための生活」になってしまいがちです。そんな患者さまに、「治療中なのだから、こうしてはいけない」「入院しているのだから、こうしなければいけない」と、効率のよい治療を押し付けるのではなく、患者さまの生活が損なわれることがないようお手伝いするのも、看護師の役目だと考えています。

看護師がいつも笑顔で、患者さまに敬意を持って接することができるよう、当院では看護師の配置基準を患者さま7人に対し、看護師1人とし、看護師、看護助手、クラークを含め看護部職員は308人(2018年4月現在)となっています。

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経験豊富な自律した看護師たち

看護の質を高めるには経験も欠かせません。当院に在籍している看護師は、8割以上が看護師として6年以上の経験をもち、病棟、外来を問わず、自分で判断し、行動できる、優秀な人材がそろっています。

また、こうした「自律した看護師」が当院の中から育ち、生まれる環境を整えるため、教育体制も非常に充実しており、看護職員の教育に特化した部署が存在します。当院独自の教育にとどまらず、院外での研修も積極的に提供し、看護師たちが経験を積み、学び、成長する機会を用意しています。

こうして、豊富な経験と知識をもった看護のゼネラリストを育てるのは、病院の使命ですが、さらに専門性を深めたスペシャリスト、日本看護協会が設定した資格である「専門看護師」「認定看護師」も必要であると考えています。

専門看護師は比較的広い分野を専門とし、例えば「がん」の場合、「がん看護専門看護師」が対応します。認定看護師は「がん」の中でも細分化され、「がん性疼痛看護」「がん化学療法看護」「緩和ケア」などにわかれます。

「専門看護師」や「認定看護師」は医師や患者さま、薬剤師、その他のスタッフをつなぎ、多職種が円滑に動けるようサポートするチーム医療のキーパーソンであり、看護の質だけではなく、医療の質も上げてくれる存在です。

患者さまのそばにいる専門家、専門・認定看護師

現在、当院に在籍している専門看護師、認定看護師は12人で、同規模の病院では見られない充実した人数です。(2018年4月現在)

分野ごとでは若干名ですが、例えば認知症ケアなど高齢の患者さまの看護の質向上に貢献する「老人看護専門看護師」は、港区に2名おり、当院には1名在籍しています。また、2012年から認定が始まった、全国的にもまだ数が限られている「慢性心不全看護認定看護師」も1名在籍しています。

専門看護師や認定看護師に求められる役割は病院によって異なりますが、当院ではどのようになっているのか、「がん看護専門看護師」と「糖尿病看護認定看護師」を例に見てみましょう。

がん治療では、治療の副作用による苦痛があったり、積極的治療をやめ緩和ケアに切り替える時期をどうするか、といった複雑な問題が多く発生し、患者さまの病気や治療への不安も高まります。こうした問題を解決するため、当院のがん看護専門看護師は、患者さまやそのご家族との面談を行い、不安のケアを担当します。もちろん、患者さまのベッドサイドで直接看護に携わる、病棟の看護師と一緒に対応することもあり、専門知識を生かし現場で実践する存在です。

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「実践できる専門家という役割は、いつまでも現場にいたい自分に合っていた」と話す当院のがん看護専門看護師は、「がんは今や共に生きる病気です。患者さまの価値観を守りながら、いかに治療を生活に取り入れるかが重要であり、生活とがん治療をつなげていくお手伝いをするのが、私の仕事だと考えています」

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病棟の看護師と兼任する糖尿病看護認定看護師は、その役割を「糖尿病治療のチーム医療におけるコーディネーター役」だといいます。糖尿病治療は、医師だけではなく、看護師、薬剤師、健康運動指導士などの多職種連携によって初めて実施できるものです。また、患者さまごとに状況が異なるため、常に患者さまの情報を集め、どうアプローチしていくかを考えなければいけません。そのため、チームの中で不足している部分、情報やケアの隙間をうまくフォローしていきます。

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スペシャリストがいなければ、疾患ごとに異なる複雑で専門的な問題に対応することができず、チーム医療も機能しません。また、病棟で働くゼネラリストたちは基本的な看護に欠かせない存在です。患者さまに質の高い医療と看護を提供するためにも、看護部は今後も、ゼネラリストとスペシャリストの育成を進めていきます。

(2016年8月)

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