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つくしんぼ(VOL.190)
2022年1月号

新年のご挨拶

皆さま、明けましておめでとうございます。
昨年は新型コロナの感染拡大に伴い、当院は一般診療を制限せざるを得ず、地域やかかりつけの患者さまに大変ご迷惑をおかけいたしました。一方、いち早くPCR検査体制を整え、発熱外来や新型コロナ専用病棟の開設、地域の住民向けのワクチン接種に並行して、万全な感染対策を施した上で診療を継続してまいりました。現在、ワクチン接種が感染予防の切り札として、世界中で進められています。ワクチンとは細菌やウイルスのタンパク質を予めヒトに接種して感染への抵抗力をつける予防法です。この方法は我が国の予防医学の父北里柴三郎先生が開発された血清療法がもとになっています。北里先生が設立された北里研究所は世界の感染症研究をリードし、その伝統が大村智先生のノーベル賞に繋がったのであります。大村先生が開発されたイベルメクチンは、新型コロナの治療薬として現在臨床研究が進められています。このように北里先生所縁の研究所と病院が、現在も感染症の治療に役立っていることは、私達職員の誇りです。
国民の幸福には健康が基本と考えた北里先生は、予防医学の発展に尽力されました。その思想を受け継いだ当院も、予防医学センターを中心に皆さまの健康維持のため予防医療を実践しております。とくに早期がんの発見には力を入れており、検診で何らかの異常が見つかった折には、最善の治療を円滑に提供するシステムが確立されています。また、糖尿病・高血圧など生活習慣病やロコモティブシンドロームの予防に欠かせないメディカルフィットネスは、より充実した指導を展開できるよう改装いたしました。さらに白内障・緑内障治療、人工関節や脊椎の低侵襲治療と運動リハビリなど、ますます進む高齢化社会にきめ細かく対応してまいります。また、身体だけではなく心の充足を求められる方のため、美容医学センターをリニューアルしました。とくに眼瞼下垂の治療は、従来から保険診療内での丁寧な治療を心がけています。炎症性腸疾患や癒着性腸閉塞の先進的治療は、数少ないセンターとして全国から多くの患者さまが来院されております。このように、北里研究所病院は時代のニーズに合った最善の医療を提供するため、本年も職員一同身を引き締めて診療にあたってまいります。
最後に職員を代表して、新年が皆さま方にとりまして、明るい年となることを祈念いたします。

渡邊 昌彦
病院長
渡邊 昌彦

【連載】IVFチームに聞く!「知っていますか?妊娠と不妊」⑫

Q. 仕事と不妊治療の両立

不妊治療に関して、よくある質問のひとつが仕事との両立です。治療の事を職場に伝えづらい、理解が得られない等の理由で治療のステップアップをちゅうちょされる方もいらっしゃいます。実際、厚生労働省の調査によると、仕事と両立できてなかった(できない)と答えた方は34.7%となっており、社会全体での体制づくりはまだまだ不十分だと言えます。そこで厚生労働省は、職場に対するリーフレットや不妊治療連絡カードというものを作成し、提供しています。治療の内容やスケジュール等も記載されているので、これらを活用することで説明の際には大きな助けになることでしょう。
制度はなくとも個別で対応している企業もあるようですので、まだ職場に言っていないという方は一度お話をされてはいかがでしょうか。