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当科の常勤麻酔科医は6名、全員が麻酔科専門医の資格を持っています。院内での麻酔科管理手術は年間1500件ほど、その全ての手術において担当の麻酔科医が安心・安全に手術できるように常に患者さまの傍で全身管理を行っています。

手術中、麻酔科医は麻酔薬の管理だけではなく、バイタル(心拍数・呼吸・血圧・体温)やサチュレーション(血中の酸素濃度)を絶えず監視し、輸液・輸血などを行い、患者さまの生命の安全を維持しています。これらをチェックし、少なくとも5分ごとに麻酔記録に記録しています。

麻酔科医の仕事は術中だけではありません。術前には、データを確認して患者さまの状態の把握に努め、必要に応じて主治医と麻酔方法について話し合い、患者さまに直接会って話を聞き、麻酔計画を立てています。麻酔計画は、手術の内容、年齢や持病、合併症の有無にあわせて計画しています。そして、その計画を手術の前に患者さまに説明し、安心して手術に臨んでいただけるようにしています。また、術後の痛みのコントロールは術中から行っており、術後は痛みの状態を確認するため病室へ伺っています。

当院の手術でもっとも多いのが整形外科の手術です。整形外科の手術では、全身麻酔と神経ブロックを併用した麻酔を多く行っています。神経ブロックは、例えば右足だけ麻酔するなど部分的に使用できる麻酔です。もともと下半身の手術の麻酔は全身麻酔と硬膜外麻酔を併用する事が多かったのですが、硬膜外麻酔は意識のある状態で背中に麻酔の針を刺さなくてはいけないために恐怖感を感じる方が少なくありません。また、血液をサラサラにする薬を服用している方には使用できません。ですが、神経ブロックであれば、全身麻酔で意識のない状態でも行えることが多く、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方にも使用できる場合があるというメリットがあります。神経ブロックは特殊な麻酔ではありませんが、麻酔の細かい調整も可能で、恐怖心が減り、術後の痛みのコントロールができるため患者満足度が高く、当院では積極的に手術に取り入れています。

手術は精神的にとてもナーバスになることだと思います。少しでも緊張をほぐし、安心して手術を受けていただけるように麻酔科スタッフ一同心がけています。不安な事、疑問に思うことなどがあれば、遠慮せずに聞いてください。

手術中、麻酔薬・バイタル・輸液の変化など5分ごとにチェックし、全身状態を細かく記録しています

これから手術を受ける予定の方へ

手術の予定が決まったら、喫煙者の方は煙草を控えましょう。喫煙は肺炎や呼吸器合併症のリスクを高めます。手術前にやめている期間が長いほどリスクは減少しますので、何卒よろしくお願いします。

プロフィール

上野 哲生(うえの てつお)

上野 哲生(うえの てつお)
1998年北里大学医学部卒業。医学博士、麻酔科標榜医、日本麻酔科学会(麻酔科認定医・専門医・指導医)