当院は、日本麻酔科学会認定病院です。厚生労働省麻酔科標榜許可、日本麻酔科学会の認定医・専門医資格取得をめざす真面目で優しい若手医師の応募を待っています。手術室は5室あり、年間約2,800件の手術が行われ、そのうち1,400から1,500件の麻酔科管理症例を常勤3名(部長1名、医員1名、レジデント1名、1名欠員)と慶應義塾大学医学部麻酔学教室およびその関連病院からの非常勤医師数名で担当しています。2011年3月を例にとると、全身麻酔件数は122例でした。麻酔法は全身麻酔と区域麻酔の併用で行われることが多く、硬膜外麻酔72例、脊髄くも膜下麻酔15例、末梢神経ブロック24例を行いました。
【1年次】 低リスク症例の全身麻酔、脊髄くも膜下麻酔からスタートします。麻酔関連の薬力学を学びながら、術前リスク評価、術後評価の習慣が身に付くよう指導します。次いで硬膜外麻酔に取り組みます。モニタリング機器を積極的に使いこなせるようトレーニングを積み、薬物動態学の理解が深まれば、完全静脈麻酔にも取り組みます。
【2年次以降4年次まで】 硬膜外麻酔の手技の信頼性が十分で、術後診察がきちんと行えるようになれば、末梢神経ブロックの指導を行います。合わせて、術式の理解や、総合的な技術の向上に努めます。厚生労働省の麻酔科標榜許可、日本麻酔科学会の麻酔科認定医、麻酔科専門医受験資格の取得を目指します。
【学術活動】症例報告、臨床研究等、希望に応じて指導します。北里大学図書館の利用ができ、電子ジャーナルの利用、専門学術書の貸し出し等、医学情報へのアクセスの容易さでは1000床規模の大学病院と同様です。
整形外科、消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科、形成外科等の麻酔を行っています。年間麻酔件数は1,500件ほどです。内視鏡手術が多いこと、末梢神経ブロックの症例が多いことが特徴です。病院に脳外科、心臓外科、産科が設けられていないので、これらの麻酔は経験できません。同じ理由で、緊急手術の数は限られています。
術後鎮痛は手術の満足度に直結するため、病院の重要事項として取り組んでいます。中でも超音波ガイド下末梢神経ブロックを積極的に行っています。2007年から整形外科のリクエストにより取り組みを開始し、2009年までにカテーテル留置の持続末梢神経ブロックの成績も安定したものになりました。この実績が評価され、2010年には麻酔科専用のポータブル超音波画像診断装置を導入することができました。
当院はハイスペックな麻酔器材を揃えています。GEヘルスケア社製エイシス、アバンス全身麻酔器、LOGIQe超音波画像診断装置をはじめ、麻酔深度モニター、筋弛緩モニター、液晶画面付きシリンジポンプ等を潤沢に装備しています。これらの機器を使いながら、よく観察し、深く考えて麻酔を行うことで、良質のon-the-job トレーニングになる環境が整えられています。
東京都港区は病床過剰気味で、医療の水準が高く、手術のアウトカムが良いのは当たり前で、患者の満足度の競争になっている感があります。どんなに優れた技術を持っていても、態度の大きい医師が医療を続けられる環境ではありません。威張った医師、若手を威嚇する外科系医師は当院にはおらず、麻酔科医と対等に尊重し合っています。また、比較的高学歴の患者層と、研究熱心かつ協力的なスタッフに恵まれているので、誠実にコミュニケーションと診療を行い、良い結果を積み重ねていけば、高い評価を得て自信を深めていくことができます。このような雰囲気の病院に在籍してみることは、将来、都内で長く医療を続けたいと考える医師にとっては、価値ある経験と思います。
研修期間は、4月から翌年3月までの1年間単位を基本とし、翌年度も研修を継続するか、他施設へ転出するか、レジデントと病院双方の話し合いで決定します。当院で経験できない症例については、慶應義塾大学医学部麻酔学教室をはじめ、他の研修先を紹介可能です。研修終了後は、当院医員の採用試験に応募できます。
麻酔科部長