ORTはorthoptistの略で視能訓練士という国家資格を持った医療技術者です。主な仕事は、「視機能検査」と「視能矯正訓練」の2つに大きく分けられます。医師の指示のもとで視機能に障害がある患者さまに対して行う視機能検査と機能回復のために行う視能矯正訓練です。
ORT科には現在5名のスタッフが勤務しており、眼科、人間ドックでそれぞれ視機能検査を行っています。視機能検査には、視力検査に始まり、屈折検査・眼圧検査・視野検査・調節検査・色覚検査・眼位検査・眼球運動検査・涙液検査・超音波検査・電気生理検査・写真撮影検査があります。当院では約40種類の検査を行っております。さらにより良い検査を行えるようにスタッフ間での勉強会や各種研究会・学会への参加・発表も行っています。
臓器として眼は直径25ミリメートルととても小さな器官ですが、私たちの日常生活は眼から入ってくる情報に80%以上が依存しているといわれており、視力の損失は日常生活に多大な影響を及ぼします。私たち視能訓練士は眼科領域における専門技術者として、皆さまの大切な眼の健康を守るお手伝いをさせていただきます。
眼の検査は眼科内で行い、診察の結果により別の検査が追加されることもあります。診察終了まで時間が長くかかることがありますので、時間にゆとりを持って受診されることをおすすめします。
眼底検査をお受けになる方は、散瞳薬を利用して瞳を開いて診察をする可能性があります。点眼により瞳を開くと瞳が元に戻るのに4~5時間を要します。瞳が開いた状態では、光を眩しく感じピント調節ができなくなりますので点眼後しばらくは物が見えづらくなります。瞳が開いた状態での車の運転は危険ですので、公共の交通機関を使ってご来院いただくか、もしくは瞳が元に戻ってから運転をするようにお願いします。眼を使う細かい作業も数時間はできなくなりますのでご了承ください。
屈折検査(RKT-7700)
屈折検査は視力検査の前に行う検査で、その人の眼が近視であるのか、遠視であるのか、乱視があるのかを自動測定器にて測定します。
視力検査
視力には裸眼視力と矯正視力とがありますが、眼科では、「視力」は矯正視力のことをさします。矯正視力とはその人の眼が最もよく見えるために必要な近視や遠視、乱視のレンズの度を装用していただき、それで得られた最良の視力値のことです。
非接触式眼圧測定(RKT-7700)
眼の表面に風を当てて眼の硬さ(眼圧)を調べる検査です。
視野検査(HFAⅡ-750i、ゴールドマン型)
眼に入った光が脳に到達するまでの伝達路における障害を調べる検査です。
検査法は静的視野検査と動的視野検査の2種類あります。
視野検査はおもに緑内障の早期発見や進行程度を調べるために行いますが、頭蓋内疾患などの視野欠損をともなう疾患にも用います。
OCT検査:光干渉断層計撮影(Cirrus HD-OCT)
近赤外線を利用して眼の奥にある網膜の断層像を得ることができる画期的な検査です。黄斑部の疾患、緑内障などの診断に有用な検査です。
眼底写真撮影(VX-20)
カメラでいうフィルムにあたる網膜の状態を撮影する検査です。眼底の状態を画像記録することが目的です。
蛍光眼底造影検査 (VX-20、VX-10i)
網脈絡膜血管の状態を撮影する検査です。腕の静脈に造影剤を注射すると心臓を経由して眼底の血管に造影剤が流れていきます。その造影剤から発した蛍光を眼底カメラで連続撮影します。造影剤には2種類あり、フルオレセインは網膜レベル、インドシアニングリーンは脈絡膜血管レベルの検査に用いられます。
自発蛍光撮影検査(VX-20)
おもに網膜色素上皮の活動性を調べる検査です。
斜視検査(Synoptophore)
片目が内に寄る内斜視、片目が外に寄る外斜視など、斜視の検査では目の位置のずれを調べる眼位検査や、両眼視機能の状態を調べる検査を行います。
角膜形状解析検査(CASIA SS-1000)
眼の表面にある角膜の形を撮影します。角膜に混濁がある目でも角膜の形を詳細に撮影することができます。角膜移植やコンタクトレンズ処方時に適切なレンズを選ぶために大切な検査です。
涙液検査
涙の油層の状態を撮影する検査(DR-1)と涙の量を測定するシルマー検査があります。
角膜内皮細胞撮影(EM-4000)
角膜の内皮細胞の数を調べる検査です。角膜移植・白内障手術予定の方やコンタクトレンズ装用者などに検査を行います。
眼軸長測定検査(OA-2000、AL-4000)
白内障手術で挿入する眼内レンズの度数を決めるために、光干渉と超音波を利用して眼の奥行きを調べます。
超音波画像診断(BモードUD-8000)
眼底出血や白内障などで濁りが強く、眼底を詳しく見ることができない方に行う検査です。
他に10種類以上の検査機器で検査を行っています。