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対象疾患

各種悪性腫瘍疾患(原発性脳腫瘍と小児がんは除く)

診療内容

当センターでは、手術療法、化学療法、放射線療法、緩和ケア、局所療法を組み合わせた集学的治療をチーム医療で行います。

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手術療法(各診療科、内視鏡手術センター)

多くのがんにおいて、手術療法がその標準治療になっています。特に、早期発見されたがんに対しては、手術による病巣摘除で根治させることが可能です。すなわち、がん治療の第一原則は、早期発見・早期治療です。早期がんに対する手術療法は、低侵襲性(体への負担の少ない方法)、機能温存(従来ある身体機能を失わない方法)を重視した方法が開発されてきました。その代表的なものが、腹腔鏡や胸腔鏡による手術です。当院では、2007年に内視鏡手術センターを設立し、鏡視下手術にかかわる多くの診療科やスタッフが協力し合いながら、安全で確実な手術が行える体制を確立しています。現在、肺がん、消化器がん、泌尿器がん、婦人科がんなどの多くの疾患に対する内視鏡手術が可能となっています。もちろん従来から行われている、開腹・開胸手術(拡大手術)が適応となることも少なくなく、それぞれの病状に合った最適な治療方法が選択されています。

放射線療法(放射線科)

放射線療法の適応は、治癒を目的とした根治的治療から、症状を緩和して患者さまの生活の質を回復、維持する緩和的治療まで多岐にわたります。また手術療法や化学療法等との併用は、より優れた治療効果をもたらします。
当院では、患者さまが最適な治療を受けられるよう、2012年4月から最新型の放射線治療システムを導入しました。新しい放射線治療装置の特徴は、できるだけがん病巣のみに放射線を照射し、周囲の正常組織へ照射される放射線量を少なくすることにより、副作用が軽減され、より効果的ながん治療が行えるようになることです。
これは臓器を温存したまま治すことができること、そして通院治療が可能であることなどの放射線治療の長所がこれまで以上に生かされることになります。

化学療法

今日、化学療法の世界は、急速に様変わりしています。毎月のように新しい抗がん剤が生まれ、治療の可能性が豊かになっています。
実は、日本の抗がん剤の歴史は、北里の歴史ともいえます。かつて北里研究所の所長であった秦藤樹博士は、抗がん作用をもつ抗生物質のマイトマイシンを発見し、その後の輝かしい歴史を切り開きました。以前恐れられていた白血病は完治する病気の仲間入りをしました。そして、今まで効き目がはっきりとは見えづらかった固形がんでも、効果が目に見える形で示され、寿命が日に日に延びています。手術前の抗がん剤の投与で胃がんや、大腸がんの肝転移が縮小して、それぞれ根治切除が可能になります。また、肛門近くの直腸がんが縮小して人工肛門にならずに済み、乳がんでは、乳房の温存手術が可能になるなど、化学療法の恩恵を受けられる時代になっています。

緩和ケア(緩和ケアチーム)

当院では、がんをかかえていらっしゃる患者さまができるだけ苦痛なく過ごせるよう、緩和ケアを推進しています。ホスピスや緩和ケア病棟はありませんが、各科・各部門のスタッフが連携して、良質な緩和ケアを提供できるよう努めています。また、日本緩和医療学会の認定研修施設にも指定されています。
緩和ケアは、がんと診断されたときから始まります。患者さまがより良く生き、その人らしく生活するのに重要なケアです。当センターでは、緩和ケアチームが中心となって、緩和ケアを推進しています。緩和ケアチームは、内科医師、精神科医師、麻酔科医師、東洋医学医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなどから構成されており、週に1回(火曜日)、入院中のすべての患者さまを回診し、患者さまを直接担当している主治医チームと連携して活動しています。

わたしたちは、早期がんの患者さまに対しても、そして終末期のがんの患者さまに対しても、十分な緩和ケアを提供したいと考えています。

《 WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002年)》

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、生活の質を改善するため のアプローチである。

緩和ケアの対象となるのは、痛みだけではありません。私たちは、患者さまの気持ちのつらさや、ご家族の事情などにも配慮したケアができるよう心がけています。

局所療法(内視鏡センター)

手術、放射線療法を除くがん局所療法としては、消化器がんの内視鏡治療がまず挙げられます。検診の普及で早期発見が進んだ胃がんなどに対しては内視鏡的粘膜切除術(EMR)の他、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がここ数年で普及し、数センチ大の病変でも切除が可能になりました。肝臓がんに対しては、病変の個数や大きさなどに応じてラジオ波焼灼療法(RFA)、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)といった治療法が選択されます。RFAとPEITはエコーで確認しながら経皮経肝的に病変に対して針を挿入し、熱やアルコールによりがんを壊死させる治療法です。TACEは放射線科医が脚の付け根の動脈から肝臓の病変までカテーテルを挿入し、抗がん剤と塞栓物質を注入する治療法です。 以上に加え、内視鏡はがんの症状緩和にも応用されます。膵がんや胆管がんで黄疸のある症例に対して、閉塞した胆管にステントを挿入して黄疸を軽減したり、膵がんの十二指腸浸潤、食道がんや直腸がんによる狭窄に対する金属製ステントの挿入により、通過障害の改善を図ることもできるようになりました。

腫瘍センター講演会・勉強会

様々ながんの診断・治療について専門医が講演する市民公開講座のほか、当院の通院・入院患者さまとそのご家族に向けて、がん療養なさるうえで少しでも役立つような知識や情報を共有していただくために、「がん患者さま向け勉強会」を開催しています。

一般の方向け

  • 市民公開講座(一部の回)

患者さま向け

  • がん患者さま向け勉強会

医療関係者向け

  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会
  • 腫瘍センター勉強会