文字サイズ
拡大
標準
背景色

整形外科で行う再生医療(PRP療法・APS療法)について

再生医療とは、人が生まれながらにして持っている「自然治癒力」を利用した治療法になります。
これまでは痛みをとる方法が手術しかないと思われていた障害や手術後に残る症状に対してこの治療を行うことにより、痛みが軽くなり、日常生活やスポーツに早期に復帰できる可能性があります。

PRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)療法

PRPは血液から血小板を濃縮することにより活性の高い成長因子を多く含み、傷ついた組織の修復を促します。PRPを患部に注射することにより、治りにくい組織の修復が期待されます。自身の血液を使用するため安全性も高く、治療日当日に日帰りで実施可能でからだに負担の少ない治療法です。
この治療法はすでに10年以上の実績があり、早期復帰が必要なプロアスリートや、重要な試合を控えたトップアスリート、スポーツ愛好家の方などを対象に広く行われています。
一般的に1週間~6ヶ月で組織の修復が起こり始め、治療後2週間~3ヶ月までには効果が期待できるとされています。
当院ではGPS III®システム(ジンマーバイオメット社)というキットを用いて高白血球多血小板血漿(LR-PRP)を分離・抽出し、患部に投与(注射)します。

図
 

このような疾患の方が主な対象になります(病変が関節のにあるもの)。

  • テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
  • ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
  • 野球肘(肘内側側副靱帯損傷など)
  • 肩関節周囲炎
  • 肩腱板損傷
  • 足底腱膜炎
  • 筋挫傷
  • 肉離れ
  • 膝蓋腱炎

APS(Autologous Protein Solution:自己たんぱく質溶液)療法

PRPをさらに遠心分離・特殊加工することで、炎症を抑える働きをするタンパク質と、軟骨を守る成長因子を高濃度に抽出したものがAPSです。次世代PRPと呼ばれており、関節の痛みや炎症の軽減、軟骨の変性や破壊の抑制が期待できます。PRP同様、自身の血液を使用するため免疫反応の起きる可能性は極めて低いと考えられています。
一般的に1週間~4週間ほどで組織の修復が起こり始め、治療後2週間~3ヶ月までには効果が期待できるとされています。海外では1回の注射で2年間の疼痛改善効果が持続したという例も報告されています。
当院ではAPSキット(ジンマーバイオメット社)を用いてAPSを分離・抽出し、患部に投与(注射)します。

図
    

このような疾患の方が主な対象になります(病変が関節のにあるもの)。

  • 変形性関節症
  • 骨壊死
  • 離断性骨軟骨炎

治療の流れ

治療に先立ち、整形外科外来で担当医より詳しく説明を行います。 その際、治療部位や導入方法(PRPあるいはAPS)、治療スケジュールなどを決定します。診察後、後日予約された日時に下記の流れで治療を行います。

実施枠:月〜金曜日(祝日は除く) 午後
実施場所:北里研究所病院10階

① 採血:26ml~56mlの血液を採取します。(PRP:採血26ml~56ml、APS:採血55ml~56ml)
② 分離・抽出:採取した血液からキットを用いてPRPあるいはAPSを抽出(約30分)
③ 投与:患部に注射

費用:保険診療の適応外となっているため、自費治療です。
PRP療法:税込13万2,000円
APS療法:税込33万円
※料金には治療当日の診察料、採血・注射施術料、PRP・APS製技術料、精製キット他諸材料費が含まれます。
※投与日は自費治療ですが、その他は保険適用診療です。

再生医療に係る主なリスク、副作用等に関して

注射後数日間~2週間は、痛みや腫れ、発赤などの症状が一時的に見られる可能性があります。注射による症状は次第に消失し、後遺症など重大な健康被害は報告されていません。