文字サイズ
拡大
標準
背景色

特色・方針

循環器内科部長
東條 大輝

カテーテル診療を基盤としながらも、都内で他に類をみない「循環器予防」および「包括的心不全管理」の2つを大きな柱としています。虚血性心疾患では、カテーテル治療の後も、総合的な二次予防により不安なく快適に生活を送っていただける管理システムを、病診連携を視野に入れて構築しています。また、心不全では、「かくれ心不全」と「こげつき心不全」という両極の病態に対応した診療を展開しています。さらには、入院・外来の別に関わらず心臓リハビリテーションを広く推進させております。

メディカルノート:東條医師

対象疾患

心不全、冠動脈疾患、心筋疾患、心臓サルコイドーシス、弁膜症、肺高血圧症、不整脈、閉塞性動脈硬化症などの心血管病一般、生活習慣病(高血圧、高脂血症など)

おもな症状

  1. 息が切れる、息苦しい
    多くは、心臓か肺のどちらかを原因とする症状です。その見極めは難しく、循環器内科か呼吸器内科のいずれかで相談してください。心臓の病気としては、心不全と狭心症が代表的です。

  2. 足がむくむ
    様々な疾患から引き起こされますが、リンパ浮腫や静脈瘤として片づけられている患者さまの中に、ときに重い病気が隠れています。そのひとつが心不全であり、特にに息切れをともなう場合は循環器内科を受診してください。

  3. 胸が痛い
    命に関わるような緊急性の判断が求められます。心筋梗塞をはじめとする冠動脈疾患がその代表ですが、大動脈解離や肺梗塞といった特殊な病気の可能性もあります。体を動かしたときに胸の痛みが数分間持続する狭心症が有名ですが、心筋梗塞へ移行するタイミングでは安静にしている際にも出現し、難しい判断が求められます。胸痛に冷や汗をともなう場合は、一刻も早く循環器内科や救急部に相談すべきです。

  4. 胸がドキドキする
    多くは、不整脈にともなう症状です。何らかの不整脈は正常な人にも見られるため、治療が必要かどうかの判断が重要です。不整脈を引き起こす本丸の心臓病がないかを確認のうえ、不整脈の種類と重症度を同定する必要があり、循環器内科の独壇場です。

  5. 歩くと足が痛む
    動脈硬化は、脳や心臓だけに起こるとは限りません。脚の動脈に高度な狭窄が生じた場合、歩いている最中に脚に痛みを感じ、歩き続けられなくなります。閉塞性動脈硬化症は、腰部に関わる整形外科疾患と見なされている場合があり、整形外科での治療でよくならない脚の痛みでは、一度循環器内科に相談してみてください。

診療内容

心臓カテーテル診療

2016年4月より診療体制を完全にリニューアルした部門です。リニューアル後は、前年度比の4倍近くのペースで検査・手術件数を増やしています。

  1. 虚血性心疾患に対する診断として、冠動脈の形態評価のみに偏らない診断ポリシーをとっています。狭窄度という「見た目」の判断に加え、iFR/FFRという冠血流予備能を用いて生理的な冠血流を評価しています。さらには、心筋シンチにより心筋虚血を診断し、心筋への血流に関する需要と供給しています。まさに、「心臓そのものに耳を傾ける」カテーテル診療です。

  2. 2019年4月より、心臓カテーテル治療および冠動脈イメージングの専門医が赴任しました。虚血性心疾患に対する治療として、従来のIVUS(血管内超音波)ガイドに加え、OCT(光干渉断層法)ガイドを用い、個別化した冠動脈形成術を展開しています。急性期、慢性期に関わらず、血管径やプラーク形状を鮮明な画像で把握し、最適な冠動脈ステントを選択することで的確な冠動脈治療が進められます。

    従来のIVUS(左図)は、超音波を用いて冠動脈内の断層画像を描出します。それに対し、当科で積極的に活用しているOCT(右図)では、造影剤を用いてより解像度の高い画質が得られるため、動脈硬化の性状や冠動脈ステントの位置関係などがより鮮明に観察できます。

  3. 心不全例での心臓カテーテル検査は、専門的な知識と経験を必要とする項目です。診断プロトコルや心筋生検などの特殊な手技は、必ずしもどこの病院でも定着しているわけではなく、当科で得られる情報量の多さは国内屈指です。難解とされる心不全管理を最適化するための基盤です。

包括的心臓リハビリテーションの展開

当科が取り扱う疾患は近年、心不全・冠動脈疾患・不整脈など、細分化かつ専門性の高いものとなっていますが、心臓リハビリテーションは、これら疾患の垣根を超えてすべての心血管病に対応します。2019年4月より心臓リハビリテーション指導士の資格を有する医師、さらに2020年5月より看護師が参画し、理学療法士との多職種による包括的な心臓リハビリテーションチームが立ち上がりました。2021年4月より心臓リハビリテーションセンターとして運用が開始されました。運動を勧められたものの、一体どのくらいの運動をしたらいいのか、心臓にリスクを抱えた患者さまは不安や心配が募ります。われわれは、心肺運動負荷試験(CPX)を用いて、各人にあった有効かつ安全な運動処方を行います。さらに、外来通院中の患者さまにも、心臓リハビリテーションの扉を大きく開く体制作りが始まりました。ご希望の際には、外来スタッフまでお気軽にお声かけください。
詳しくは、心臓リハビリテーションセンターをご参照ください。

心臓リハビリテーションセンタースタッフ

理学療法士
  • 重田 暁 (リハビリテーション技術科部長)
  • 松本 卓也(心臓リハビリテーション指導士)
看護師
  • 菊池 潤子
  • 小股 直子

心不全の包括管理

心不全は、大変に見つけにくく、そして、治りにくい病気です。とかく循環器医が敬遠し、十分な管理がなされていない病気の代表です。当科では、様々な手法を用いて慢性進行性病態である心不全の各病期に対応させ、必要な検査と治療を進めます。特に、心不全の難治例や稀な心筋疾患の症例を積極的に受入れ、一部は心不全外来として専門管理を行っています。詳しくは、心不全外来をご参照ください。病棟では、多職種によるチーム医療を展開しています。

心血管病の先制診療

循環器診療というと、カテーテル治療に代表される高度先進医療にばかり脚光が注がれがちです。 しかし、このような対象疾患はある日突然に発症するわけでなく、様々なリスク因子が積もり積もって心臓や血管を病的に変化させ、 最終的に様々な心臓病や血管病を引き起こします。言い換えれば、心血管病は進行を続ける一連の病態であり、重篤化してから手を下すよりは、 先手先手に手を打つほうが治療効果も高いものです。このような先制医療には、早期に的確な診断を下すことがポイントです。 当科では、BNPなどの血液検査や心エコーやCT、MRIといった画像診断を駆使し、病気の発見に努めています。詳しくは、循環器予防外来 および循環器新患外来をご参照ください。

ペースメーカ外来

ペースメーカを植え込んだ患者さんは、半年毎のチェックが必要です。当科では第1週の土曜日午前中に、ペースメーカ外来を設けています。専用の機械で体外からペースメーカの情報をチェックし、電池残量を確認しながら最適なモードへ調整します。他院でペースメーカを植え込まれた患者さんも対応が可能です。電池残量が少なくなった際には、ペースメーカ交換手術も行えます。

専門外来

行っている検査

心臓カテーテル検査、血流予備能評価、冠動脈内エコー(IVUS)、心筋生検、心電図、トレッドミル運動負荷心電図、心肺運動負荷試験、ホルター心電図、頸動脈エコー、末梢動脈検査(ABPI/PWV、FMD)、心エコー、経食道心エコー、負荷心エコー、ヘッドアップチルト試験、冠動脈CT、心筋シンチ、心臓MRI

行っている治療法、手術

冠動脈インターベンション、ペースメーカー植込術、大動脈バルーンパンピング、心血管病の集中治療管理

医師紹介

氏名 役職・専門・出身 資格等
東條 大輝(とうじょう たいき)
<役職>
循環器内科部長

<専門>
循環器一般(特に虚血性心疾患)
<出身>
山形大学(1995年卒業)
山形大学医学部大学院医学研究科(1999年卒業)
日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会循環器専門医
臨床研修プログラム責任者
石田 弘毅(いしだ こうき)
<役職>
循環器内科医長

<専門>
冠動脈イメージング
心臓カテーテル治療
<出身>
香川大学医学部(2007年卒業)
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会循環器専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
身体障害者福祉法指定医
難病指定医
心臓リハビリテーション指導士
日本医師会認定産業医
日本DMAT隊員

医学博士
西成田 亮(にしなりた りょう)
<役職>
医員

<専門>
循環器内科
<出身>
北里大学医学部(2012年卒業)
日本不整脈学会認定不整脈専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本内科学会認定医
臨床研修指導医(15回JADECOM地域志向型指導医講習会修了)
ICD/CRT合同研修セミナー修了
医学博士 (北里大学医学部循環器内科学医療系研究科)
和田 彩美(わだ あやみ)
<役職>
医員

<専門>
循環器内科