はじめに、腸閉塞外来を受診していただく皆様へのお願いです。当院では、腸閉塞を繰り返している待機的な方の治療を対象としています。現在腸閉塞で入院中の方は対象としておりません。入院中の方は腸閉塞が改善し退院後に紹介状をご準備していただき、ご予約いただきますようお願い申し上げます。
当外来は、術後腸閉塞を専門に診療しています。腸閉塞はすぐに命にかかわるような病気ではないだけに、その手術治療も敬遠されがちかもしれません。しかし、食べたいものを食べることができず、また入退院を繰り返している方の多くに、この治療がお役に立てるかと存じます。
腸閉塞(癒着性)は胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓、子宮、卵巣などの腹部の手術をした後に、腸が「癒着」することによって起こります。「癒着」とは臓器同士が貼り付いた状態のことをいいます。腸があらゆる臓器や腹部の内側の壁に「癒着」することで、腸の内容物がうまく通過することができなくなり、腹痛、吐き気、嘔吐、腹部の張りの原因になります。悪化すれば炎症が強くなり熱が出たり、最悪の場合は腸が破裂して腹膜炎と呼ばれる状態となり、命にかかわることもあります。
おなかの痛み・張り、吐き気、嘔吐、下痢が続くなど
腸閉塞外来に受診していただいた際には、腸閉塞の原因となる癒着が腹部のどこにあるのか把握するために小腸造影検査、CT検査(場合によりMRI検査)を受けていただきます。小腸造影検査では口から造影剤と呼ばれるレントゲンに写る薬(バリウムをうすめたもの)を飲んでいただき、その流れをリアルタイムに観察し、腸の内側から通過しにくい癒着部分を特定します。また、CTでは腸の外側の情報も収集することができるので、癒着部分が周囲の臓器とどのように癒着しているのか、周辺にはどのような臓器があって注意しなくてはならないかなどを把握することができます。
癒着部位がはっきりしたところで、手術を検討します。手術の方法には大きく分けて、腹部を大きくあける従来から行われてきた「開腹手術」と、腹腔鏡というカメラを使用した「腹腔鏡手術」があります。一般的に「開腹手術」に比べて、「腹腔鏡手術」は傷が小さいため、痛みも少なく、体の負担が小さいため、術後の回復も良好な手術です。
さらに、腹部の手術は、手術をすること自体がさらなる癒着を起こすという結果を招いてしまう恐れもあります。「腹腔鏡手術」ではしっかりと腸閉塞の原因を調べることができ、傷が小さく癒着を起こしにくいため、当院では可能な限り「腹腔鏡手術」を行っています。「開腹手術」に比べて再び腸閉塞を起こす確率は極めて低くなっています。当院では、内視鏡手術をより安全で確実に行うため、内視鏡手術のエキスパートを揃えた内視鏡手術センターを開設しています。「腹腔鏡手術」は非常に難易度が高いため、一般的に行われているわけでありませんが、当院では腹腔鏡手術の経験が豊富で内視鏡外科技術認定医の資格を有する医師が手術に参加しており、「開腹手術」へ移行せざるを得ないケースは多くありません。当院の成績では、2012年~2017年の6年間で施行した73例の腸閉塞の手術において「開腹手術」となったのは6例(8%)であり、再び腸閉塞を起こした症例は3例(4%)のみでした。
消化器の中でも小腸・大腸を専門とした医師で腸閉塞の手術を行っています。腸閉塞の腹腔鏡手術の難易度は高くなっていますが、内視鏡外科技術認定医の資格を有する医師が担当しており、なかでも渡邊医師は腸閉塞に対する腹腔鏡手術の経験が豊富で、各種メディアに多く取り上げられています。
氏名 | 役職・専門・出身 | 資格等 |
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渡邊 昌彦 | <役職> 非常勤 <専門> 消化器外科 <出身> 慶應義塾大学医学部(1979年卒業) | 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医 日本大腸肛門病学会専門医・指導医 日本内視鏡外科学会 名誉理事長 日本外科学会 名誉会員 日本癌治療学会 名誉会員 日本大腸肛門病学会 名誉会員 欧州内視鏡外科学会 名誉会員 韓国内視鏡外科学会 名誉会員 北里大学名誉教授 慶應義塾大学 客員教授 東邦大学 客員教授 東海大学 客員教授 |
矢部 信成 | <役職> 副部長 <専門> 大腸外科、上部消化管外科、肝胆膵外科、乳腺外科、癒着剥離、ヘルニア、内視鏡外科、がん薬物療法 <出身> 東京慈恵会医科大学医学部(1998年卒業) | 日本外科学会外科専門医・指導医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医 日本消化器内視鏡学会上部消化管内視鏡スクリーニング認定医 大腸内視鏡スクリーニング認定医 日本消化管学会専門医・指導医 日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医・指導医 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 ストーマ認定士 日本臨床肛門病学会臨床肛門病技能認定医 内痔核治療法研究会 四段階注射法(ジオン)講習会修了 日本乳癌学会乳腺認定医 マンモグラフィー精度管理中央委員会認定読影医 日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医 日本内視鏡外科学会評議員 日本消化器内視鏡学会評議員(学術評議員、関東支部評議員) 日本臨床外科学会評議員 日本外科感染症学会評議員 日本消化管学会代議員 身体障害者福祉法指定医 小腸機能障害 膀胱直腸障害 臨床研修指導医 日本静脈栄養学会TNT修了 日本老年医学会高齢者研修修了 ICD(感染制御ドクター) 難病指定医 日本医師会認定産業医 日本セーリング連盟医事科学委員会委員 東京2020オリンピックメディカルドクター 東京2020パラリンピックメディカルドクター |
迫 裕之 | <役職> 一般・消化器外科副部長 <専門> 消化器外科、上部消化管、内視鏡外科 <出身> 浜松医科大学医学部(2004年卒業) | 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科) 日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器病学会専門医 日本食道学会食道科認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 医学博士 |