頚椎前方除圧固定術、頚椎椎弓形成術、頚椎後方除圧固定術、胸椎椎弓切除術、胸椎除圧固定術、胸椎前方固定術、腰椎椎間板ヘルニア後方摘出術、腰椎棘突起縦割式椎弓切除術、腰椎後方進入椎体間固定術(PLIF)、低侵襲経椎間孔的椎体間固定術(MIS-TLIF)、腰椎低侵襲側方固定術(XLIF、OLIF)、腰椎前方固定術、バルーンカイフォプラスティ(BKP)、脊椎腫瘍摘出術、顕微鏡下脊髄腫瘍摘出術、最小侵襲脊椎安定術、脊椎骨きり術、脊椎変形矯正固定術、脊髄刺激装置埋め込み術
適応となる疾患:頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靭帯骨化症など
1978年に慶應義塾大学医学部整形外科平林名誉教授が考案した片開き式脊柱管拡大術(ELAP) は、海外でも頚椎の後方除圧術式として標準的な手術です。術後の長期成績も安定しておりまた高齢者にも安全に行える手術です。当院では従来法をさらに改良し、開大した椎弓の再閉鎖を防止するために椎弓プレートを使用して、手術後の頚部痛軽減、神経麻痺予防に努めています。また頚椎の不安定性(すべりやぐらつき)や変形(弯曲異常)のある患者さまには、金属による固定術を併用することで術後成績の向上に努めております。手術時間は1時間から1時間30分ほどで、翌日から歩行が許可されます。入院期間は通常10~14日間ぐらいになります。
適応となる疾患:頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症など
頚部の前方より切開し椎間板や骨の出っ張りを切除し、神経の圧迫を解除します。最近は、椎間板や骨を切除した部分に、椎体間ケージと呼ばれる箱型の金属を使用することで、腰骨からの採骨が不要となり手術時間が短縮できます。また、術後の採骨部痛(骨をとる部分の痛み)を防ぐことができます。手術時間は1時間~1時間30分ぐらいで、翌日から歩行が許可されます。入院期間は通常10~14日間ぐらいになります。
適応となる疾患:腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症など
腰椎後方(背中)から椎弓、肥厚した黄色靭帯を切除し、硬膜管(馬尾神経の通っている管)の圧迫を解除します。棘突起を縦割することで腰背筋を骨から切離せず温存して、余分な組織のみ切除する低侵襲な手術を行います。従来の手術に比べ、術後の腰痛が軽度です。手術時間は1時間くらいで翌日から歩行が許可されます。入院期間は通常10~14日ぐらいになります。
適応となる疾患:骨粗鬆症性椎体骨折、転移性脊椎腫瘍
骨粗鬆症による背骨の骨折や転移性脊椎腫瘍(がんの背骨への転移)による病的骨折に対して世界中で行われている低侵襲な手術法です。日本では2011年に保険適用になり行われています。全身麻酔をして背中の約5mmの傷2カ所から細い針を骨折椎体に挿入します。その針を介して風船(Balloon)を骨折椎体内に設置し、ゆっくりと潰れた骨を整復・復元します。整復後に除去した風船のスペースに骨セメントを注入して、骨折を人工的に接合します。手術は約1時間程度で、手術直後から痛みが軽減することが多く、翌日より起立・歩行を開始します。入院期間は通常約3~7日程度になります。
適応となる疾患:腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症など
従来の腰椎の後方除圧固定術は、背部に約10~15cm程度の切開を加え手術を行っておりましたが、当院では、皮膚切開を最小限に抑え(通常は約4~5cm程度の創)神経除圧と椎間板切除、人工骨の充填を行います。その後、約2cmの皮膚切開を別に2カ所ほど加えて、レントゲンを見ながら金属スクリューを安全に刺入します。この手術の利点は、筋肉の損傷を最小限にして、出血量低減、術後疼痛の軽減、早期離床、早期退院、早期社会復帰を可能とすることです。手術は2時間から3時間ぐらいで、翌日から起立、歩行が許可されます。入院期間は通常14日間程度になります。
適応となる疾患:腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎変性側弯症など
日本では2013年から承認されている低侵襲な脊椎側方固定術です。この手術は、トレーニングを受けた医師だけが実施できるため、全国でも限られた医療機関でのみ受けられます。当センターの日方医師は資格を有しているため実施可能です。この手術の最大の利点は脊髄神経を直接触らないで神経を圧迫から解除することにあります。側腹部に約5cmの皮膚切開により、下図のように神経機能を電気モニタリングで随時確認し重要な神経を避けながら椎間板内に人工骨を移植します。その後、腰部から固定術を行います。翌日から起立・歩行が許可され、入院期間は通常10~14日程度になります。
適応となる疾患:転移性脊椎腫瘍、化膿性脊椎炎、脊椎骨折など
がんの脊椎転移、脊椎の細菌感染、外傷による脊椎骨折など脊椎の安定性が失われた病態に対して行われる低侵襲な手術です。脊椎に挿入する金属スクリューを、経皮的に刺入するために皮膚切開が小さく、筋肉に対するダメージを最小限にすることができます。出血量も低減させ、早期離床、早期リハビリが可能な手術です。術後の安静期間や入院期間は病態に応じて異なります。
出典元:HIkata et al. Clinical Spine Surgery 2016 in press