患者さまに、より安心・安全な内視鏡検査をご提供するためリニューアルした内視鏡センターを阿曽沼副センター長と竹鼻看護師がご紹介します。
阿曽沼:内視鏡を用いて食道・胃・大腸などの検査や病気の治療を行う施設が内視鏡センターです。上部消化管内視鏡(胃カメラ)と下部消化管内視鏡(大腸カメラ)の検査を行っています。外来患者さまの精密検査や術後の経過観察のための検査が多く、その他に地域の病院や、当院と提携する企業の健康相談室からの紹介にも対応しています。また、予防医学センターを主体とした人間ドック、港区民の特定健診や企業健診の内視鏡検査で病気の早期発見に力を尽くしています。検査で異常が見つかった場合、当院の外来で治療を受ける患者さまも多数いらっしゃいます。
当院は東京都指定の二次救急医療機関であり、内視鏡センターでは特に消化器系の救急疾患を積極的に受け入れています。24時間365日、地域の救急診療を支えていくことが当センターの大きな役割だと思っています。
阿曽沼:内視鏡検査は危険性の高いものではありませんが、辛い、苦しいというマイナスのイメージを持つ方が少なくないため、当センターは鎮静内視鏡に力を入れています。鎮静内視鏡は鎮静剤を静脈注射して、ぼんやりした半分眠っているような状態で行うため、患者さまはほとんど負担を感じることなく受けることができます。
内視鏡検査は、できるだけ患者さまの希望に沿った方法で行います。たとえば外来で内視鏡検査を受けると決まった場合、症状にあわせてどのような検査方法を選べるのか、胃カメラには鼻から行う経鼻と口から行う経口があること、経口では鎮静内視鏡も選択できることなどを医師から説明します。そのうえで看護師からの検査説明を受けてもらうまでにどの方法を希望するかは患者さま自身に決めていただきます。
竹鼻:医師からの説明後には外来看護師が補足説明を行い、患者さまの不安を取りのぞいて意思決定できるようサポートしています。補足説明の際に得た情報は外来と内視鏡センターの双方で共有します。
検査当日は、事前に記入いただいた問診票や共有した情報を踏まえ、患者さまから検査に必要な情報や希望などを伺い、検査準備なども含めてサポートしていきます。
阿曽沼:看護師が得た情報を踏まえ、私たち医師は検査前の最終提案を行います。患者さまにとって一番不安や負担がない方法を相談し、使用する薬の量や種類、カメラなども総合的に調整していきます。
竹鼻:検査や治療が終わった患者さまが、安全にお帰りになれるかどうかは内視鏡センターの看護師が確認しています。特に鎮静剤を使用した場合、回復室で休んでいる様子も見守ります。また、検査中の薬の効き具合や様子なども記録して、次回の検査の際に反映できるようにしています。
阿曽沼:1階と3階に分かれていた内視鏡センターを6月にリニューアルし、3階のワンフロアに集約しました。年々増加する検査数に対応するため、内視鏡室を5部屋から6部屋に増やし、緊急治療を想定した広い部屋も作りました。内視鏡検査は患者さまの体液に直接触れる行為であり、院内感染を予防するためには感染対策を徹底する必要があります。今回さまざまな改良によって感染対策もより行いやすくなり、ウイルスなどが部屋の外に漏れない陰圧室も設置しました。
さらに、リニューアルを機に、ほぼすべての機器において新規整備を行ったものを導入しました。画質も向上し、さまざまな機能が付属しています。従来の機器にも良い点があり、さらに新規整備機器が加わることで選択肢が増え、患者さまにより適した方法でより安全な検査や治療が行えるようになります。
竹鼻:受付から内視鏡室、待機室までの仕切りをなくし、フロア全体を見渡せるようになったことで、患者さまを見守りやすくなりました。また、回復室も以前より広くきれいになりました。
感染対策において、使用した内視鏡の洗浄も重要です。10台の内視鏡専用洗浄機と新たに洗浄管理システムも導入しました。洗浄状態がデジタルで管理できるようになり、これまで以上に安心して検査を受けていただける体制が整ったと自負しています。洗浄業務は外部委託の職員が行っておりますが、必要な機器を常に準備するための采配は看護師が行っています。
センターを安全に円滑に運用するために多職種と連携し、チームとして仕事ができる環境を整えることも私たちの重要な役割のひとつです。
阿曽沼:安全管理やセンターの運用において看護師の果たす役割はとても大きく、力を尽くしてくれています。リニューアルにおいても、医師と看護師が協力することでより良いセンターにすることができたと思っています。
阿曽沼:内視鏡検査や治療に不安を感じる患者さまの気持ちに配慮して、負担なく受けられるように検査を行っていますので、ぜひ一度受けていただければと思います。
竹鼻:不安や質問などがあれば気軽にお声がけください。不安な気持ちを和らげるよう、あたたかくお迎えしますので、安心していらしてください。
阿曽沼 邦央(あそぬま くにお)
内視鏡センター
副センター長
2007年 4月 昭和大学藤が丘病院 初期臨床研修医
2009年 4月 昭和大学藤が丘病院 内科消化器 助教(員外)
2012年 4月 昭和大学病院 臨床病理診断科 助教(員外)
10月 昭和大学藤が丘病院消化器内科 助教
2015年10月 昭和大学江東豊洲病院消化器センター 助教
2017年 4月 昭和大学藤が丘病院消化器内科 助教
2019年 4月 北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター 特任助教
2021年 4月 昭和大学藤が丘病院消化器内科 講師
2023年 9月 北里大学北里研究所病院 内視鏡センター 副センター長
竹鼻 奈美(たけはな なみ)
内視鏡センター 主任看護師/
内視鏡検査技師
2003年4月1日北里大学病院(本院)入職。
救命救急センター、外来、HCU、救急病棟に勤務。
2009年4月より北里研究所病院勤務となり内視鏡センター配属。
2015年内視鏡検査技師免許取得。
現在2023年度より主任として勤務しています。