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北里研究所病院の形成・美容外科は外観のアンチエイジング治療を特徴としています。形成外科専門医が2名在籍しており、病気や加齢等によって起こる外観の変化について治療を行っています。
森山和の先生には、相談数の多い美容外科の治療についてお話しいただきました。

美容はエイジレス、気になることはご相談を

形成外科と美容外科

 形成外科と美容外科の両方の診療を行っている当科では、保険診療を形成外科、自費診療を美容外科と、保険が適用されるか否かで線引きをしています。保険診療になるかならないかは、国が保険診療を認めているか否かです。そういう意味では線引きがはっきりしているのですが、実際の現場では両者が混在しています。たとえば、ほくろやいぼの治療は、メスで切れば保険が適用されますが、レーザーで治療する場合は保険が適用されず自費診療になります。

まずスキンケアでお肌を改善

 当科では手術だけではなく美容皮膚の診療も多く行っています。受診理由として多いのはしみやたるみなどお肌に関するご相談です。初診では肌診断を行います。患者さまにまず洗顔方法の指導をして、正しい方法で洗顔してから、カメラ等を用いて現在のお肌の状態を評価します。診察では具体的に日々のスキンケアの方法を伺い、肌診断の結果とあわせて患者さま一人ひとりにあわせた正しいケアの方法をお伝えしていきます。明らかにしみになってしまっている場合などはレーザー治療が必要ですが、いわゆるくすみであったり、患者さまの多くがしみと思っている肝斑(かんぱん)などは、毎日のスキンケアを正しい方法に変えるだけでかなりの改善が見られます。
 お肌の状態が改善して、さらに改善を希望される場合、マイルドなものから外科的なものまで患者さまにあわせていくつかの治療法を提案しますが、外科的な治療を希望される方は少数です。

お肌の治療は早期治療ほど効果的

 おすすめの治療法として、しわ予防のボトックス注射、しわや頬のこけ感を改善するヒアルロン酸注射等があります。ボトックスとは、ボツリヌス毒素製剤というタンパク質の一種で、筋肉に直接注射をすることで筋肉の動きを抑えます。しわは筋肉が伸び縮みする時にできるので、その動きを抑えることでしわの予防効果があります。たるみの治療は、皮膚を大きく切らずに糸で釣り上げる治療方法があり、日帰りで受けることができます。いずれもダウンタイムが短い治療法です。ダウンタイムというのは、外科的な治療の後、腫れや内出血、赤みなどが落ち着いて日常生活に戻るまでにかかる時間のことで、最近はダウンタイムの短い治療を希望される方が増えています。さらにしっかりたるみを改善したいという方には、入院して全身麻酔をかけて皮膚を切り持ち上げる手術もあります。
 治療方法は、患者さまの希望と状態にあわせ、ご相談して決めます。お肌の治療は早期治療ほど効果が上がりやすいものです。気になったらお早めにご相談ください。

生活の質を改善する手術も

 元々、顔の骨格にゆがみがあり噛み合わせがずれている方で、矯正だけでは患者さま自身の願望も含め機能的にも改善しない場合、顔の骨を切る手術、骨切り術を行います。形成・美容外科と口腔外科と歯科が絡んだ治療になります。当初は美容目的であっても、診断の結果によって保険適用で手術を行う場合もあります。
 基本的には口の中から行う手術なので表側に傷は残りませんし、保険適用の患者さまの場合、特に医学的にバランスのよい骨格になることで、外観はもちろん、顎の負担や歯の状態が大きく改善します。骨切り術は、見た目だけに重きを置いたり、逆に歯並びだけに重きを置いたりすると、どこかでひずみが生じてしまいます。形成・美容外科と口腔外科と歯科の3科のアプローチが重要であり、それぞれのクリニックの医師と、定期的なカンファレンスを行い最適な治療方針を選択しているので安心して手術を受けていただくことができます。

プロフィール

森山 和の(もりやま かずの)

森山 和の(もりやま かずの)
2007年 岩手医科大学医学部卒業、自治医科大学付属病院での初期臨床研修終了後、2009年 北里大学形成外科・美容外科入局。
平塚共済病院整形外科、相模原共同病院外科、北里大学病院救急科を経て、2020年より北里研究所病院勤務。
日本形成外科学会専門医、日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医、医学博士