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全診療科からの依頼を受けて放射線画像診断やIVR治療を行う当科は、他科との相互連携により患者さまによりよい医療提供の一翼を担います。

当科は、院内の全診療科からの依頼で放射線画像診断やIVR治療を行っています。
放射線画像診断では、CTやMRIを使用します。レントゲンはX線で体の二次元的画像を撮影しますが、CTはドーナツ型の装置で360度からX線を当てて得られたデータをコンピュータ処理して、体の輪切り画像を作成します。CTは撮影に時間がかからず、部位にもよりますが鮮明な画像を得ることできます。X線を使用するため被ばくのリスクがあり、CT検査により得られる利益が被ばくのリスクを上回ると主治医が判断した場合のみ、患者さまに被ばくのリスクを説明しご理解いただき実施します。
MRIも体の輪切り画像を作成する装置ですが、磁気を使用するので被ばくのリスクがありません。デメリットは撮影に時間がかかることです。
CTとMRIは原理の違いから適切な症例が異なるため、当科で症例に応じた方法を判断して撮影します。撮影した画像の所見を報告書にまとめ主治医に提出するのが放射線画像診断です。最終的な診断は主治医が下しますが、その診断の手助けをする役割を担っています。
IVRは日本語で画像下治療といい、X線を使用した画像で治療する部位を確認しながらカテーテルという医療用の細い管や針等を用いて行う治療です。たとえば、肝細胞がんに対する経カテーテル的動脈化学塞栓術では、足のつけ根の動脈からカテーテルを挿入し治療を行います。肝臓がんに直接針を刺して焼き切るラジオ波凝固療法のような局所療法もあります。IVRの最大のメリットは患者さまの体への負担が小さいことです。患者さまの状況や症状によって選択される治療法のひとつとしてIVR治療があります。
放射線画像診断で主治医からの依頼以外の所見や緊急性が高い所見などが見つかった場合は、報告書の見落としが起きないよう必ず主治医に電話で連絡をします。私が所見を見落とした場合も、診療科の先生から連絡があります。そうした相互連携により、写真という無機質なものを相手にしていても、患者さまを診ている感覚で診断することができるのだと思っています。
診療科に関わらず医師同士が顔を知っているので連携がとりやすいことが当院の良さですし、患者さまへのより適切な医療にもつながっていると思います。どうぞ安心して受診してください。

プロフィール

矢内原 久(やないはら ひさし)

矢内原 久(やないはら ひさし)
放射線画像診断・IVR科 部長
1997年北里大学医学部卒業、北里大学病院放射線科入局。
2005年北里大学北里研究所病院画像診断・IVR科出向。
北里大学北里研究所病院放射線画像診断・IVR科部長。
日本医学放射線学会放射線科診断専門医、日本インターベンショナルラジオロギー学会IVR専門医。